
アマゾンが昨年買収した
「ホールフーズ マーケット」
は、世界最大の自然食品店として有名です。
グルメスーパーというカテゴリに分類されることもあります。
ここ数年ほどは売上不振に苦しんでおり、そのせいもあって昨年アマゾンに買収されましたが、勢いのあったころ、当時のアメリカの食の業界では
- スターバックス
- ジャンバジュース(※)
と並び称される、先進的で話題性のある企業でした。
ホールフーズマーケットはオーガニック野菜のビジネスモデルを開拓した企業でもあります。
(※)スムージーの流行を作り、定着させたチェーン店
オーガニック野菜(有機農法の野菜)は、オーガニックでない野菜(慣行農法の野菜)よりコストが高くつきます。
なので、その分、高く売れなければなりません。
ところがホールフーズマーケットが登場する前は、オーガニックであるがゆえに高くついた生産コストを販売価格に転嫁することがなかなかできませんでした。
正確にいうと
- オーガニック野菜とそうでない野菜が同じ価格で並んでいればオーガニック野菜が先に売れる。
- しかし、オーガニック野菜がそうでない野菜より高ければ、人々は安いほうを選ぶ。つまりオーガニックでない野菜が先に売れる。
というジレンマに陥っていました。
この状況を劇的に変えたのがホールフーズマーケットでした。
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そのためにホールフーズマーケットが行ったことは以下の2つです。
- オーガニック野菜とそうでない野菜を並べるのをやめた
- オーガニック野菜に「エステ」を施し「きれいな服」を着せた
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<オーガニック野菜とそうでない野菜を並べるのをやめた>
ようするにオーガニックでない野菜(慣行農法の野菜)は仕入れないこととし、オーガニック野菜だけを置くことにしたということです。
これにより、普通のスーパーマーケットとは異なる客層が来るようになりますし、価格で比較されることがなくなります。
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<オーガニック野菜に「エステ」を施し「きれいな服」を着せた>
それまで、オーガニック野菜は自然に近いことを強調するために「泥のついた状態」で売られていました。
その売場は素朴であることを強調するために地味に設計されていました。
それが常識のようになっていたわけです。
しかしホールフーズマーケットはその常識と反対のことをしました。
- 「泥感」を排除
- 見た目がよくなるようにトリミング
- 高級品に見えるようにパッケージを工夫
すなわち、オーガニック野菜がカッコよくセンスよく派手に見えるための演出やデザインに力を入れました。
さらにアメリカ人が最も好む色は何かを調べ(紫だと判明)、緑と紫を中心に売場を設計したりもしました。
(いわゆるビジュアルマーチャンダイジングです)
今でこそこうした演出やデザインはあたりまえのように行われていますが、ホールフーズマーケット登場以前の自然食品店はそうではなかったのです。
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これによりオーガニック野菜はそうでない野菜(慣行農法の野菜)とは異なるカテゴリに属するものとして人々に認知されるようになり、端的にいえば
「高いのが当然」
「高いけど、買う」
という存在になりました。
この変化を
「単にデザインを改良した」
と捉えるのは中途半端な理解だと思います。
過去には
「オーガニック野菜をおっかなびっくりおずおずと売る」
という店ばかりだった中で、発想を変え、
「オーガニック野菜を自信満々で高そうに売る」
という店を作ったところにホールフーズマーケットの凄さがあります。
「古いタイプの自然食品店」
から
「新しいタイプの自然食品店」
へと、ビジネスモデル自体を変化させたのだと捉えるべきでしょう。
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