「AIが職を奪う」が他人事である理由

「今後たくさんの職が容赦なくAIに奪われるから、失業しないためにはかくかくしかじかの知識とスキルを持たなければならない」

といった危機感を煽る記事が新聞や雑誌に毎日のように掲載されていますし、ネットでも量産されています。

 

ではその「かくかくしかじかの知識とスキル」とは何なのかというと、こうした記事が異口同音に挙げているのは、

  • 創造性
  • デザイン思考
  • コミュニケーション力

だいたいこの3つです。

 

まだ見ぬ未来のことは正確には分かりませんが、おそらくこれらの記事は大きくは間違っていないでしょう。

これまで人間がしていた仕事のうち、AIに置き換えられるものはさっさと置き換えられるでしょう。

AIに置き換えられる性質の職業は、人間がするよりもはるかにAIのほうが速く巧みにできるのですから。

 

なので人間は、AIにはできない仕事をやらなくちゃいけない。

AIにはできない仕事。

それを集約すると

  • 創造性
  • デザイン思考
  • コミュニケーション力

 

となる、というわけです。

 

 ▽

 

ですが、ちょっと待って下さい。

「AIに職を奪われる」

という表現には、明確に語られていない隠された前提があります。

それは

「ブルーカラーであれホワイトカラーであれマネジメント職であれ、AIに職を奪われるのはあくまで労働者である」

という前提です。

 

言い換えると、労働者でなければ職を奪われることはないということになります。

すなわちビジネスオーナーであれば関係ありません。

だって「ビジネスオーナー」は職ではないから。

奪えないのです。

 

たとえば起業して小さいながらも自分の会社の株主、すなわちオーナーになったとしましょう。

株を持ち続けるかぎり「株主という権益」はAIに奪われることはありません(持株をAIに売却すれば別ですが)。

「権益」は職ではないからです。

 

ところが「社長」という立場はAIに奪われる可能性があります。

「社長」は職だからです。

もし将来、AIが人間の社長よりも優れた経営をするようになるなら、そのときはAIに社長という職は奪われるでしょう。

ただしその決定をするのは株主です。

 

小規模な会社の場合、社長=株主 すなわち オーナー社長となっているところが多いため、「社長」という概念と「株主」という概念を混同しがちですが、この両者は本来は違うもの。

「社長」は職であり

「株主」は権益です。

 

自分より優れた経営を任せられるAIがもし誕生したなら、

  • 社長である自分はAIに社長を譲る
  • ただし自分はいつまでも株主なので、いつでもAIをクビにできる

というふうにしておけばよいのです。

 

 ▽

 

「今後たくさんの職が容赦なくAIに奪われるから、失業しないためにはかくかくしかじかの知識とスキルを持たなければならない」

という記事は労働市場を想定して書かれているのであり、そこには「AIと人間(労働者)が職を争う」という図式がある。

しかしビジネスオーナー(株主)の視点から見ると「AIは使うものであり、争う対象ではない」ということになります。

 

冷徹な言い方をすれば

  • AIのほうが役に立つのであればAIを使う(雇う)
  • 人間のほうが役に立つのであれば人間を使う(雇う)

ただそれだけのこと。

 

したがって、ビジネスオーナー(株主)が持つべきなのは、AIを雇うのか人間を雇うのかをジャッジできる知識とスキルなのでしょう。

 

 ▽

 

ここまでを整理すると、

 

「AIと人間(労働者)が職を争う」という図式の中でポジションを確保したいなら

  • 創造性
  • デザイン思考
  • コミュニケーション力

を身につける。

 

その反対に「AIと人間(労働者)が職を争う」という図式に巻き込まれたくないなら=それを他人事にするなら、労働者ではなくビジネスオーナーになることを考える。

 

大雑把に2つの選択肢があるということです。


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