ビジネスモデルのテーマにも当然のことながら「はやりすたり」というものがあります。
例を3つ挙げると、まず1つめは1990年代の終わりから2000年代の中ごろにかけて「排出権取引」(炭素クレジット)が話題になっていました。
国や企業にそれぞれの二酸化炭素の排出枠を定め、
- 排出枠が余った国や企業
- 排出枠を超えた国や企業
両者の間で「枠」を取引する。
いわば「政治の介入を最小限にし、経済原理を取り入れて公害の削減をはかる」という仕組みです。
余った「枠」をお金に変えることができるので、
- 「枠」を減らすのに役立つ商品の開発が進んだり、
- 植林活動をしているNPOなどに援助をする会社が増えたり、
- 「枠」を証券化して金融市場で販売しようというビジネスモデルがみられたり
しました。
でも昨今はこの「排出権取引」のニュースはあまり見なくなりました。
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2つめは「バイオ燃料」です。
2000年代後半だったと記憶していますが、中東の石油価格がものすごく高くなり、石油の代替としてバイオ燃料の開発が世界中で行われましたね。
当時のアメリカではそれまで食用や飼料用にトウモロコシを育てていた農家が、エネルギー業界にトウモロコシを売り始めるようになり、トウモロコシの値段も高騰しました。
シェールガスの研究が進んだのもその頃です。
それが今では、エネルギー源の多様化が進んでおり「バイオ燃料」に関する大々的なニュースはあまり見なくなりました。
ただし消えてしまったわけではなく、水面下では今でも基礎研究が進められています。
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3つめは、上記2つほどには知られていませんが。筆者としては気になっているテーマで「ニュートリゲノム」というものです。
今世紀初頭に人間の遺伝子配列(ヒトゲノム)が解読されたのをきっかけに立ち上がった分野です。
- 毎日のように高脂肪の食事をしながら心臓病にならない人がいます。
- 日々相当量のチョコレート菓子を口にしながら太らない人がいます。
- 脂肪をそれほどとっていないのにコレステロール値の高い人がいます。
その違いは遺伝子にあるらしいとわかってきました。
これを研究するのがニュートリゲノムです。
栄養素や食品成分が体にどう働くかを、遺伝子から研究します。
その結果、遺伝子を調べることで
- あなたに向いている食べ物
- あなたに向いていない食べ物
が分かるだろう、と期待されています。
これが分かってくると、さまざまなビジネスモデルが生まれてくるはずです。
日本でも2000年代前半にニュートリゲノムから新規事業を生み出す目的のコンソーシアムが存在していました。
残念なことにこのコンソーシアムはいつのまにかなくなってしまいました。
今ではこの言葉をメディアで見かけることもありません。
しかし、これも消えてしまったわけではなく水面下では今でも基礎研究が進められています。
EUには「NuGO」というニュートリゲノム研究者のネットワークがあり、日本人がすっかり忘れ去った「ニュートリゲノム」を今も研究しています。
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