「買ってもらうためには、価格に見合うメリットを提供しなければならない」
「メリットがなければ人は商品やサービスを買わない」
そう思い込んでいる人は、かなりたくさんいることでしょう。
当然のように、そう考えられていますね。
協会など会員制の事業をしている人で
「会費を払ってもらうためには、会費に見合う会員メリットを提供しなければならない」
そう信じ込んでいる人も、数多くいます。
しかし、実際にはそうとも限りません。
メリットではないところに、ポイントがある場合も少なくないのです。
<目次>
|
1.お賽銭(神社)の不思議
神社のお賽銭を思い浮かべてください。
わたしたち日本人はなぜ、神社に行ったらお賽銭を払うのでしょうか。
いったん神社の鳥居をくぐったら、人は必ずお賽銭を払います。
お賽銭を払わずに神社を出ていく人は、まずいません。
お賽銭を払っても、神社側は何のサービスもしてくれません。
お礼すら言ってもらえません。
それが分かっているのに、わたしたち日本人はお賽銭を払います。
それどころか「二礼二拍手一礼」までする。
お金を払ったうえに、頭も下げているのです。
それどころか、お賽銭を投げる前に手水で手を清めます。
メリットがないのです。
ビジネスとして、経済合理性として考えたら、こんな不思議な現象は理解できないはず。
お賽銭を払うのはなぜか。
人によってその答はさまざまでしょう。
ですが、日本人という集団の、奥深いところにある潜在意識として
「日本という国に属していたい」
「神社がなくならずに存続してほしい」
という根雪のように共通した感情があるのではないかと思っています。
2.お賽銭の増やし方
そんな「神社のお賽銭」ではありますが、ここで
「お賽銭の金額を増やす戦略」
というものを考えることができます。
お賽銭の金額は、どうしたら増えるでしょうか?
2-1. 北風の発想
賽銭箱を大きくすれば、賽銭は増えるでしょうか?
おそらく無理でしょう。
賽銭箱を豪華に飾り立てたら、賽銭は増えるでしょうか?
おそらく、賽銭は増えないでしょう。
「いつもの半分の賽銭でご利益が得られる半額キャンペーン」みたいなことをしたら、賽銭は増えるでしょうか?
これもダメでしょうね。
それどころか参拝者に批判される可能性が大です。
つまり、ダイレクトにお賽銭を増やそうとするような「北風」の発想では、うまくいかないということです。
2-2. 太陽の発想
しかし、たとえば桜の木を何本も境内に植えておくと、花見の季節には参拝客が増え、結果として賽銭が増えるでしょう。
またたとえば、縁日を開き、たくさんの屋台に来てもらい境内で営業してもらうと、親子連れなどが参拝に集まり、結果的に賽銭が増えるはずです。
「北風と太陽」でいうところの「太陽」の戦略です。
ようするに境内に人が集うようにすればよいわけです。
2-3 縁日理論
極端な言い方をすれば、
「どんな理由であれ人が集まりさえすれば、そこに賽銭箱を置いておくだけで賽銭は増える」
ということになります。
わたしたちはこれを「縁日理論」「境内理論」などと呼んでいます。
「縁日理論」「境内理論」は、とくにコミュニティをビジネス化するときに有効な考え方の1つです。
3.まとめ
「メリットがなければ人は商品やサービスを買わない」というのは、必ずしも正しくはありません。
神社のお賽銭のように、メリットがないのにお金が支払われる現象が存在します。
「どんな理由であれ人が集まりさえすれば、そこに賽銭箱を置いておくだけで賽銭は増える」という原理にもとづくマーケティングのことを「縁日理論」「境内理論」などと呼びます。
- 検定試験を受けるのにメールアドレスの登録などは必要ありません。
- 合格者全員に進呈:「独立して講師になる!教室をひらく!スタートアップガイド(PDF)」