顧客不在のビジネスモデル

飲食店の「空き時間」「空きスペース」を何かに使おう、という話は以前からそれなりにありました。

特にフランスでそういうビジネスが多かったと記憶しています。

 

具体的には、ランチ営業とディナー営業のあいだの時間を有効利用しよう、という主旨の案件が多く、その中でもよくあったのは

「料理サロンを開きたい人にキッチンと客席を貸す」

というもので

  • 借りたい人
  • 貸したい飲食店

をマッチングするサイトがいくつかありました。

 

しかしこのマッチングは飲食店側の条件が厳しいのが普通。

ディナー営業を妨げないように

  • 時間厳守
  • 後片付け厳守

となるのですが、借りる側としてはなかなか大変です。

そんな事情もあり、この手のマッチングはあまり流行りませんでした。

 

 ▽

 

次に登場したのは「キッチンインキュベータ」と呼ばれる方式です。

自前のキッチンを持てない駆け出しビジネスのために、飲食店のキッチンを時間貸しするサービス。

「カリナリーインキュベーター」とも呼ばれます。

 

たとえば、とある夫婦がとても美味しいオリジナルの調味料を発明したとします。

近所に配ったらとても評判がよく、「商品化したら売れるよ」とみんなに言われた。

すっかりその気になり、商品化して近所の産地直売所に出品したいと思っているけれども、商品として販売するということは

  • 食品衛生法などの法律に準拠しなくてはいけない
  • 調理器具だって自宅のものでは小さすぎて間に合わない
  • 商品ラベルもミスがないように作らなくてはいけない
  • 大量生産するためのレシピも必要となる

こうしたことを自己流でするのはまず無理ですし、自宅のキッチンでできることでもない。

 

キッチンインキュベーターはそういう人たちにキッチンを貸すのです。

 

しかし、ただ単に時間貸しするのではなく、

「起業支援を目的としたキッチンの時間貸し」

というのがその本質です。

貸し出すのは食品開発・製造用の本格キッチンであり、法律面の疑問点や調理科学の疑問点にも答えられるようなスタッフもいる。

 

したがって、貸しだす側の飲食店は「空き時間」「空きスペース」を貸すというよりも、

  • 貸すことを本業とし
  • 貸す相手がいない場合にのみ飲食店営業をする

という「主従逆転」になります。

 

2012年ごろにアメリカで流行ったビジネスモデルです。

 

 ▽

 

この流れでいうと最近のトレンドは「ゴーストレストラン」と呼ばれるビジネスモデルです。

「ゴースト(幽霊)」という言葉が入っている理由は

  • キッチンがいてシェフがいて厨房スタッフもいるのに
  • 客席が空っぽ(顧客がいない)

だからです。

顧客不在なのです。

 

このビジネスモデルの仕組みを説明します。

飲食店はウェブサイト上にメニューを公開します。

顧客はそれを見て自宅から注文。

ウーバーイーツ(UberEats)が、それを配達します。

 

ようするに、ウーバーイーツ(UberEats)が普及し、配達のインフラが充実してきたおかげで、自前の配達スタッフを抱えなくても、

飲食店が自由自在に料理を配達できるようになった。

したがって顧客はお店に来なくなり、客席が空になり、にも関わらず商売は順調。

これを「ゴーストレストラン」と言います。

 

さらにはいっそのこと客席がなくてもよい、キッチンだけの飲食店も出てくるわけですが、それらも一律に「ゴーストレストラン」と呼ばれているようです。


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