食品に等級をつけるビジネスモデル

工業製品などの場合は品質のばらつきが少ないのですが、農産物・海産物・林産物など1次産品の場合は自然界のものですから品質にばらつきがあるのがふつうです。

  • 形の良いリンゴもあれば歪んだリンゴもある。
  • 大きなカツオもあれば小ぶりのカツオもある。
  • まっすぐな材木もあれば曲がった材木もある。

といった具合です。

このとき、

「品質の良いもの悪いものを仕分けせず、ごっちゃにして1つの単価で販売する」

よりも

「品質で仕分けしてそれぞれ異なる単価で販売する。すなわち優れたものは高く売る、劣ったものは安く売る」

ほうが、全体として平均単価が上がります。

 

数学的には、ごっちゃにして売ろうが仕分けして細かく売ろうが平均単価は変わらないはずですが、人間の心理というのは不思議なもので、実際には仕分けしたほうが結果が良くなる(平均単価が上がる)。

仕分けをすると手間もかかりますし時間もかかります。

つまり仕分けコストがかかるのですが、そのコストを考慮しても仕分けしたほうがよい。

 

なので日本では米も野菜も魚も材木も「等級」がつけられ、市場などでは等級ごとに異なる値段で売られているのです。

さらに等級づけの専門家がいて有料で仕分けをしています。

 

おそらくこれは海外も同じと思われます。

筆者の知る範囲では

  • アメリカの材木は等級別に売られていますし
  • ヨーロッパのオリーブオイルははるかローマ時代から等級別に売られています。

 ▽

 

さて、この、

「品質の良いもの悪いものを仕分けせず、ごっちゃにして1つの単価で販売する」

よりも

「品質で仕分けしてそれぞれ異なる単価で販売する。すなわち優れたものは高く売る、劣ったものは安く売る」

ほうが、全体として平均単価が上がる、という原理を応用して、新しいビジネスモデルを展開している企業がアメリカにあります(何社もあります)。

それが、

「食品に等級をつける」

というビジネスモデル。

 

スーパーマーケットを顧客とし、

契約したスーパーマーケットが店頭で販売しているあらゆる食品を審査して等級をつけ、

その等級をシールにして食品に貼りつける

 

というサービスを提供し、報酬を受け取っています。

 

要するに

「食品の鑑定士」

ということですね。

 

ここでの等級は

  • 栄養素の多い・少ない
  • 添加物の多い・少ない
  • カロリーの多い・少ない

などの「健康」の観点でつけられているようです。

 

たとえば

「ガイディング・スター」

という会社は、契約したスーパーマーケットが店頭で販売している食品を1つ1つ調べて

 ☆(星1つ)

 ☆☆(星2つ)

 ☆☆☆(星3つ)

という3段階の等級をつけ、シールを貼っています。

 

当然のことながら、

  • 今まで売れていなかった商品だけど、☆が多くついたことにより売れるようになった
  • 今まで売れていた商品だけど、☆が少なかったことにより売れなくなった

という、店にとって

  • ポジティブ要素
  • ネガティブ要素

が出てくるわけですが、平均すると等級づけをしたことによりプラス・マイナスはプラス面のほうが多く、以前に比べて約15パーセントの売上増になるそうです。

 

売上が15パーセントアップするなら「ガイディング・スター」に報酬を払ってでも等級づけしたほうがスーパーマーケットにメリットがありますね。

買物客にとっては「健康」な食品を選ぶことができるので、社会貢献にもなります。


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